ー犬捨て山ー
その光景がいかなるものだったかを、あえてここで語ることはやめておこうと思う。
それは何行かで書き表わせるようなものではないし、私が見た光景がどんなに驚くべきものだったとしても、それはマルコさんとボランティアの方たちが、すでに何年もかけて改善されてきたものだった。
あの場に立って、心の底からマルコ・ブルーノさんという人を尊敬した。
マルコさんが初めて訪れた当時の現場がいかに悲惨な状況だったかを、想像は出来たとしても、実際に目にしたわけではない私が、ここでわかったようにあの山のことを語るのは、とてもはばかれると思うからだ。
こちらでマルコさんのインタビューと犬捨て山の写真をご覧いただきたいと思う。
http://www.petlink.jp/topic_interview/data/interview/004/interview004.htm
はじめは好奇心や、何とかしたいという気持ちから現場を見に来ても、その後二度と来ない人がほとんどだいうマルコさんの言葉に納得できた。
いくらふだんから犬が大好きな人でも、顔から笑顔は消え、しばらく立ちつくしてしまうだけだろう。
しかし、私が案内されたそこは、山の犬捨て場のまだ「1」であって、それとは別にそれぞれ車で10分もしないところに、「2」、「3」の犬捨て場があったのだ!!
私が見ても、3ヶ所合わせると何十匹ではないのは一目瞭然であったが、当初は400匹以上いたというのだから言葉も出ない。
3ヶ所の犬捨て場には、それぞれ一人づつ犬たちの世話をするおじさんがいた。
魔法の杖でもないかぎり、たった一人で何十匹の犬を世話出来るわけがない。
ケージによっては水はひっくりかえり、とっくに空っぽになっているし、
フードの入れ物には、フードと一緒に犬たちのオトシモノが入ってしまっていたりする。
スコップとバケツを持った「侵入者」の私に攻撃的なコは一匹もいなかった。
なぜならみんな一度は一緒に暮らした人間の手でここへ置き去りにされた犬たちだからだ。
そうでなければ、その後ここで生まれた犬たちで、人を知らずにケージの奥で、兄弟犬、姉妹犬と重なるようにブルブル震えてこちらを見ているだけのコたちだった。
どのコもみんな悲しい目をしていて、作業している私をじっと見つめていた。
伸び放題の爪に毛玉だらけの汚れた体。
中には甘えて遠慮がちに腕に顔をうずめてくるコもいる。
気持ちだけが空回りし、どうにもできない無力さに悲しくて悲しくて泣きたくなった。
一人でもまた来たい・・・。
ちょうど車の購入を考えていたときだったのだが、候補であったスバル・インプレッサを急きょ予定変更し、このジムニーシエラにしようと決めたのだった。
-つづく-
マルコ・ブルーノ氏が代表の動物愛護支援の会のホームページです
マルコさんが登場している映画です
現在は宝塚シネ・ビビアで上映中
現在は宝塚シネ・ビビアで上映中