動物愛護先進国ヨーロッパの国によっては、飼い主に出会えなくとも、生涯世話をしてもらえる動物のためのシェルターがあったりするが、日本ではあまり聞いたことがない。
個人のボランティアさんが、一時預かりのつもりが結局最後まで・・というのはあるかもしれないが、そういった組織運営のシェルターの存在は少ないと思う。
まず今の日本にそういった施設運営に対して、国の理解と支援を願うのは、残念ながらまったく期待できないだろう。
日本で動物はいまだに「モノ」だ。
物は物でも生き物てはなく、物品の物。
たとえば迷子なら「拾得物」
死んでしまったペットは「廃棄物」
人間が動物にケガをさせたり、殺した場合の罪をなんと言うか・・・?
答えは「器物損壊」である。
そこに命への尊厳と配慮はまったく感じられない。
このような矛盾した法のもとで、子供たちにに命の大切さを教えようなど、まやかしもいいところではないのか。
昨日のニュースに出たこの事件がまさにこの例だ。
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=NPO飼育のヤギのアトム、角2本折られる=
(略)
「ヤギ自体は肩から上が(血で)真っ赤。ハンマーか何かでひっぱたいたんでしょ。(角の)片一方はまるっきり根元から(折れて)、頭がい骨が見えるほど」 (NPO法人「都川の環境を考える会」 武部功理事長)
「アトム」は近くの千葉市動物公園に運ばれ治療を受けましたが、角2本が根本の部分から折られていました。シバヤギの角は頭蓋骨と直結しているため、根本の部分には血液が通っており、大出血してしまったといいます。一体、誰が何の目的でヤギの角を折り、持ち去ってしまったのでしょうか。
(略)
漢方として珍重される鹿の角とは違い、ヤギの角にはそれほどの価値はないのではと、獣医は話します。さらに、鹿のように角がはえ変わることがないため、アトムは角のないヤギとして一生を送ることになります。
現在、落ち着いた様子を取り戻しているというアトム。精神的なダメージもあり、治療には最低1か月以上かかるということです。被害届を受けた警察は、器物損壊事件として犯人の行方を追っています。
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アトムがどれほどの痛ましい傷を受けたかを生々しく詳しく伝えているわりに、獣医のコメントもなにかピントがずれているし、昨今こういった事件を頻繁に生み出している社会へのメッセージが何も伝わってこない。
動物たちが「生きているもの」として権利を得られる未来への道のりはまだまだ長いと、どこかうつろな気持ちになった・・・。
ガンジーの言葉である。
「国家の偉大さとモラルの高さはその国の動物に対する扱い方で判断できる。」
頭に包帯を巻いたアトム